企業のシステムを安定的に運用し、トラブルを未然に防ぐためには、インフラからのログ収集は必要不可欠です。ログには、システムの動作状況や不審なアクセス、エラーなど、さまざまな情報が記録されています。セキュリティ対策からアラートの見逃し防止、迅速な問題解決に至るまで、効率的なログ収集の重要性は高まっています。1、ログ収集の重要性ログの収集は、様々な観点において重要な役割を担っております。下記に記載する観点において、ログ収集の重要性を紹介します。セキュリティ対策パフォーマンス分析トラブルシューティング(1)セキュリティ対策ログを収集することによって、セキュリティ対策の観点で、異常行動や不正アクセスの早期発見に繋がり、セキュリティ侵害のリスクを大幅に低減させることができます。また、セキュリティ侵害が発生した際の詳細な分析を可能にし、根本原因や再発防止策の策定に不可欠です。コンプライアンス遵守の観点からも、ログの収集と収集したデータをもとに分析することは重要な役割を果たします。(2)パフォーマンス分析ログ収集をする重要性の2つ目は、システムやアプリケーションのパフォーマンスの最適化です。ログからは、システムの応答時間、リソース使用率など、パフォーマンスに影響を及ぼす多様な指標を得ることができます。上記のデータを分析することで、パフォーマンスのボトルネックを特定し、改善策を講じることが可能になり、結果として、システムの安定性が向上し、ユーザーにとってより快適なサービスを提供することが可能になります。(3)トラブルシューティング最後に、ログ収集は、システム障害やアプリケーションエラーが発生した際、問題の発生原因を特定し、解決策を検討するための重要な情報源となるメリットがあります。また、ログを通じてインシデントを分析することで、類似の問題が発生するリスクを低減させるための再発防止策を講じることができます。効果的なログ収集の仕組みは、問題解決のスピードを上げるだけでなく、問題発生時の一連の経緯を把握することが可能となるため、システムの信頼性と安定性を高める上で重要な役割を担う存在です。2、ログの収集を効率的にするには?ログデータが散在していると、必要なデータを迅速に見つけ出すことが困難になるため、ログ収集を効率的に行うためには、異なるソースからのログデータを集約した上で、一箇所で情報を確認することができるような、一元管理された「ダッシュボード」が不可欠です。分散するログデータを集約し、一元管理され視覚化されたダッシュボードは運用業務の確実な遂行だけでなく、アラート時の初動対応を迅速に行うことができます。本章では、ログを収集しダッシュボード化を実現する上で必要となる重要な要素を紹介します。(1)視認性ログ収集において視認性は非常に重要です。視認性が良くないことの弊害として、障害発生時、特定の問題に対して一度に大量のアラートが生成される場合があり、重要なアラートを見逃してしまうようなケースがあります。また、複数サービスを運用しているケースでは、それぞれのサービスに対して個別のアラートチャネルを設定することが一般的ですが、結果としてアラートの取りこぼしを引き起こす原因となります。アラートの取りこぼしを防ぐためには、アラートの集約や、フィルタリングを活用し、視認性を良くすることで重要な情報を迅速に把握できる仕組みを整えることが必要です。(2)トレーサビリティログのトレーサビリティはシステム運用において不可欠な要素です。アラートの通知先、ダッシュボードやパフォーマンスグラフの確認先など、複数のチャネルを利用することが一般的です。しかし、障害発生時、必要な情報を得るために異なるプラットフォーム間で移動する必要が生じ、原因の追跡が複雑になるケースがあります。また、クラウドサービスを利用している場合、コンソール画面の確認も必要となり、より複雑化することが想定され、迅速な対応が難しくなります。上記のような状況を防ぐには、異なるソースからのログを一元的に収集し、一元管理ダッシュボードのような、統一されたインターフェースを利用することで、単一のツール内で効率的なトレースが可能です。3、効率的なログ収集を実現する上での課題効率的なログ収集を実現するためには、一元管理ができるダッシュボードを利用することが重要であると説明させて頂きましたが、このようなダッシュボードを自社要件に合わせて実現するためには、以下のような課題が考えられます。スキル時間コスト(1)スキル一元管理ダッシュボードの開発には、多岐にわたる技術的スキルが必要です。具体的には、バックエンドとフロントエンドの開発、各種APIとの連携、データの収集・処理・表示に関する技術が挙げられます。また、セキュリティ対策やデータ保護の観点から、これらの技術に関する高度な理解も求められるため、チーム内にこれらのスキルセットを持つメンバーがいない場合は、採用等の別の方法で対応する必要があり、それ自体が課題となり得ます。(2)時間ダッシュボードの開発と導入には、かなりの時間を要することが想定され、計画段階から始まり、要件定義、設計、開発、テスト、デプロイといった一連のステップを経て初めて運用が可能になります。この間、既存の業務との兼ね合いでリソース確保が難しいケース等が考えられ、開発スケジュールの遅延原因になることが想定されます。(3)コストダッシュボードの開発と維持には、大きなコストが伴います。自社内で開発する場合、上記「(1)スキル」で記載したような課題がある場合は、開発メンバーの人材確保が必要です。そして、システムが稼働した後も、継続的なメンテナンスやアップデートを行う必要があるため運用体制も必要となります。4、srestによるログ一元管理弊社では、日常的なSRE・インフラ領域の業務効率化を目的としたイベントログ一元管理ダッシュボードサービス「srest」の提供を行っております。AWSやDatadog、Sentry、PagerDutyなどから通知されるイベントログを集約する仕組みとなっており、複数サービスの運用の場合でも、一元管理されたダッシュボードを単一のサービス内で確認することができるためトレーサビリティに優れております。更に、ダッシュボードを実現する上で必要な、スキル・時間・コストといった課題に対しても、サービスを導入することで解消されます。(1)トレーサビリティを実現するための横断検索・横断可視化日付指定やフィルタ機能を活用することで、複数サービスを跨いだイベントの横断検索が可能な上、インフラサービスごとの絞り込みも可能なため、監視業務を効率化します。また、パフォーマンスグラフ等に関しても同サービス内で確認することができるため、インシデント発生時等、ログやパフォーマンスグラフの調査が必要な場合、同サービス内で調査を完結させることができます。(2)リアルタイム可視化による視認性の向上ダッシュボード上では、発生中のアラート情報の一覧表示や、一定期間に繰り返し発生したアラート情報を俯瞰的に確認することができるよう、視認性を考慮した設計となっているため、異常の早期発見をサポートします。また、各インフラサービスのイベントログを一元的に収集・蓄積しているため、アラートの通知もメールやSlack等、1つのコミュニケーションチャネルに絞ることが可能となり、イベントの見逃しを防止します。まとめ本記事では、効率的なログ収集の重要性、効率的なログ収集を実現するための課題、その課題に対して、弊社で開発した一元管理ダッシュボード「srest」による課題解消をご紹介させて頂きました。「srest」は、複数のサービスやプラットフォームからのログを集約し、リアルタイムでの監視と横断検索を可能にすることで、システム全体の健康状態を一元的に把握し、迅速な問題解決を支援します。