コスト管理と複数アカウント運用の効率化が課題に――まずは事業内容や片所さんの業務内容について教えてください。株式会社リーディングマークは、「世界中の人々の自己実現を支援することで、すべての人が個性を活かし、それによって幸せになれる社会を作ること」をミッションとしています。心理学に基づき、AIを活用しながら、求職者の「個性」や会社の「社風」を可視化し、最適な採用や配属を支援するHR Tech SaaS「ミキワメ」を提供しています。私が所属するサービス開発部SREチームでは、「ミキワメ 適性検査」「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」「ミキワメ就活」に加えて、先日資金調達のリリースとともに発表させていただいた「ミキワメ マネジメント」の4サービスを横断的に支援し、SREとして信頼性を担保する取り組みをしています。――複数プロダクトを横断的に運用する中で感じられていた課題はありましたか?srestの検討前に当社が抱えていた課題としては、主に「適切なコスト管理」と「複数AWSアカウントの効率的な管理」の2点です。新規プロダクトの開発、検証環境の拡大、そしてユーザー数の急激な増加により、当社のAWSコストは継続的に増加傾向にありました。従来は、AWSから提供されているサービスを使用して各サービスのコスト状況を把握していましたが、各アカウントのスイッチングコストや設定の手間、柔軟性等の観点から物足りなさを感じていました。また、当社では事業部ごとに別々のAWSアカウントを使用しており、各アカウントのコスト管理が大変になっていました。複数のアカウントを個別に確認する必要があったので、この作業が効率を下げる大きな原因になっていました。「事業成長を助けるコスト削減」も拡充していきたい――srestを導入いただいた背景を教えてください。コスト管理の効率化と、業務の生産性向上を同時に実現したいと考えていました。課題を解決するために、より迅速にコスト情報を把握し、適切なアクションを決定できる仕組みが必要でした。会社全体としても、今後の開発計画を適切に立てるために、コスト管理の重要性がより一層高まっていました。そのため「複数AWSアカウントを統合的に管理ができるかつ、コスト状況を簡単に確認しネクストアクションの円滑な決定を支援する」機能を持つサービスを探していました。株式会社リーディングマーク サービス開発部SREチーム 片所 宏介さんsrestを導入した理由は主に3つあります。1つ目は、複数のAWSアカウントを一元管理できる点が大きな決め手となりました。当社が利用している3つのAWSアカウントのサービス状況とコストを、アナリティクス機能を通じて統合的に可視化できます。各アカウントやサービスごとのコスト推移を1日から1年単位で簡単にグラフ化できるので、コスト分析と削減策の立案をスムーズに行うことができるようになりました。2つ目は、AWS Health情報の統合管理と通知機能が非常に便利だったからです。複数アカウントのAWS Healthの通知を一元的に確認でき、さらに簡単な設定でチャットツールに通知連携できるので、運用効率の向上に非常に役立ちました。3つ目に、srestの導入コストが我々の予算内に収まっていたことも、重要な決め手でした。提供される機能に対して、安価に利用できることを考えると、コストパフォーマンスが非常に高いと判断しました。これらの特長により、当社SREチームが求めていた「複数AWSアカウントを統合的に管理ができるかつ、コスト状況を簡単に確認しネクストアクションの円滑な決定を支援する」が実現できるサービスであると確信し、導入を決定しました。そして、srestを導入することによってSREチームとして、「事業の成長を加速するインフラの構築」という攻めの業務だけでなく、「事業成長を助けるコスト削減」という守りの業務も拡充していきたいと考えていました。――導入時のハードルは感じませんでしたか?AWSとの連携も簡単で導入しやすく、UIも優れているので操作性の高さに驚きました。導入サポートもとても手厚く、利用までの心理的・技術的なハードルの高さを感じることはありませんでした。アカウント横断的かつ一元的に利用コストやAWS Healthのログを確認することができるので、削減できそうなコスト、優先度が高めのタスクを可視化することができ、SREチームにとって日々のタスクの負荷を軽減する、非常にありがたいツールだと感じています。導入2ヶ月でコスト削減に成功、同時にコストに対する意識も向上株式会社リーディングマーク サービス開発部SREチーム 片所 宏介さん――srestの導入後、チーム内でどのような変化や成果がありましたか。srestを導入したことで、チーム内での効率的な情報共有と迅速な意思決定が可能になりました。ネクストアクションの決定に重要な判断材料になっています。具体的には、デイリーミーティングでsrestを活用することにより、どのアカウントのどのリソースにどの程度コストがかかっているか、また、それに対してどのようなアクションを取るべきか、そして実施したアクションの結果を確認するというフローを適切に行うことにができています。例として、検証環境で利用しているECSを業務時間外に停止させるコスト削減施策をアナリティクス機能を活用してモニタリングをしました。srestを活用することで、その他の検証環境に展開する意思決定をよりスムーズに行うことができました。結果として、2024年10月に導入し、導入月と比較して12月には約30%のECSのコストを削減しました。また、AWS Healthのログ管理機能を利用して、アカウント横断的にEOL対応やメンテナンスを優先度をつけてタスク化し、スムーズな対応を行うことができています。srestの導入以降、SREチームの全体的な運用効率が向上するとともに、コスト管理に対する意識も高まりました。その結果、新規プロダクトの開発やユーザー数の急激な増加という状況下でも、AWS全体の料金として約11%のコスト削減を実現できました。――導入後のフォローやサポート体制についてはいかがでしょうか。非常に手厚くサポートいただいています。AWSとの連携がうまくいかない事象が発生したり、活用方法がわからない機能があった際には、チャットツールやWeb会議を通してすぐに対応していただけるので、非常にスムーズな導入と利用ができています。また、新規機能の案内や当社の要望のヒアリングを定期的に行っていただけております。機能の不具合の報告に対しても丁寧にヒアリングしてくださり、迅速に改善してくださっているので、ユーザーと一緒に伴走して課題を解決しようとしてくださる姿勢を非常に感じています。よりネクストアクションを支援するプロダクトへ!右から株式会社リーディングマーク サービス開発部SREチーム 片所 宏介さん株式会社メタップスホールディングス srestプロダクトオーナー 山北 尚道、srest事業開発責任者 ソ チャンギョ――srestはどのような会社におすすめできますか。まずは、AWSのコスト管理に課題を感じている企業です。特に、AWSの利用が拡大している企業にとって、srestのアナリティクス機能やアロケーション機能は非常に利便性の高い機能です。詳細なコスト分析と可視化が可能となり、AWSの支出を最適化する意思決定をよりスムーズに行えます。また、効率的なAWS運用管理を目指すSREチームがある企業にもおすすめできます。srestには先ほどのAWS Healthの通知だけでなく、Amazon CloudWatchやAmazon InspectorといったAWSの各種サービスのログを素早く可視化する機能もあります。AWSのマネジメントコンソールを開かずにリソースの状態を確認できるため、スイッチングコストが発生せず、複数アカウントの効率的な運用管理を実現できます。話は変わりますが、以前srestの名前の由来が「sre」と「rest(休む)」という言葉を組み合わせたものだと聞きました。その時に、まさにこのツールは名前の通り、コストや日々の運用に関する意思決定を早め、実際に負担を軽減する、素晴らしいツールだと感じました。これからSREチームの仕事がさらに増え、人数も拡大していく会社にとっては、導入することで最終的に「SREの負担を軽減する」ことに繋げて欲しいと思います。――今後のsrestへのご期待やご要望を教えてください。現時点でも利便性の高いサービスですが、今後のアップデートに期待している部分もいくつかございます。例えば、コストをさらに分析するために各インスタンスレベルでのコスト内訳表示があると便利だと思います。こちらは近々アップデート予定とのことでしたので、楽しみにしております。また、New RelicやDatadogなどの主要な監視ツールとの連携もさらに強化してもらえると嬉しいです。これらの機能が追加されれば、コスト最適化やリソース管理がさらに効率化し、意思決定がより迅速になるプロダクトになると思います。今後も継続的なアップデートや新機能の追加を楽しみにしています!