

2026.1.7
AWSは、オブジェクト、ブロック、ファイルという3つのタイプで構成される多様なストレージサービスを提供しています。
本記事では、データベース運用から大容量バックアップ、複数サーバ間のファイル共有まで、業務要件別の選択基準を具体例とともに解説します。

AWSでは、目的に応じて3つの異なるストレージタイプを提供しています。
ここでは、各ストレージタイプの基本的な仕組みと特徴について解説します。
・オブジェクトストレージの仕組み
・ブロックストレージの高速性能
・ファイルストレージの共有機能
オブジェクト、ブロック、ファイルという3種類のストレージには、それぞれ独自の仕組みと特徴があります。
この基本的な違いを理解することで、システム要件に適したストレージサービスを選べるようになります。
オブジェクトストレージは、データを「オブジェクト」と呼ばれる単位で管理する仕組みです。従来のファイルシステムとは異なり、各データに一意のIDを割り当て、ファイル名やサイズ、作成日時などのメタデータと組み合わせて保存します。
アクセス方法も独特で、HTTPやHTTPSプロトコルを使ったAPI経由でデータの読み書きを行います。これにより、ブラウザやクライアントからHTTP/HTTPS経由で直接データにアクセスでき、従来のサーバーを介した手順を簡略化できます。
最大の特徴は、階層構造を持たないフラットな名前空間でデータを管理する点です。データ同士が独立しているため、実質的に容量制限なく水平方向に拡張できる柔軟性を実現しています。S3の場合、バケット単位での容量制限は設けられていませんが、個々のオブジェクトには最大5TBの制限があります。
EBSは、データベースやトランザクション処理で重要となる、低レイテンシでの応答を実現します。特にio2ボリュームでは最大80,000 IOPS、さらにio2 Block Express(特定のEC2インスタンスタイプで利用可能)では、サブミリ秒のレイテンシーと最大256,000 IOPSという高性能を提供します。
SSDタイプは高速な読み書きが可能で、用途に応じてIOPSとスループットを調整できるのが特徴です。EBS最適化インスタンスと組み合わせることで、専用の帯域幅が確保され、ネットワークの混雑による性能劣化を軽減可能。
ただし、EBSは基本的に単一のEC2インスタンスからのみアクセス可能という制約があります。
io1およびio2ボリュームでは「Multi-Attach」機能により、同一アベイラビリティーゾーン内の複数インスタンスからアタッチできますが、ファイルシステム側がクラスター構成に対応している必要があるなど、ユースケースは限定的です。
複数インスタンスでの一般的なファイル共有が必要な場合は他のストレージサービスを検討する必要があります。
AWSのファイルストレージは、複数のサーバーが同じファイルシステムに同時アクセスできる共有機能を提供しています。
Amazon EFSは、複数のEC2インスタンスからNFSプロトコルで同時マウントが可能です。容量も使用量に応じて自動でスケールするため、開発チームでコードを共有したり、Webサーバー間でコンテンツを同期したりする際に活用されています。
一方、Amazon FSxはより高性能な共有アクセスを実現します。Windows環境向けのSMBプロトコルや、HPC用途に最適化されたLustreファイルシステムなど、特定の要件に特化した選択肢が用意されています。

AWSには多様なストレージサービスが用意されており、それぞれに異なる特徴と最適な用途があります。
ここでは特に重要な5つのサービスについて、基本機能から選び方のポイントまで詳しく解説します。
・AWS Backup
・Amazon S3
・Amazon EBS
・Amazon EFS
・Amazon FSx
バックアップを統合管理するAWS Backupから、S3、EBS、EFS、FSxまで、各サービスの選択基準と導入時のポイントを順番に見ていきましょう。
AWS Backupは、複数のAWSサービスにまたがるバックアップを統合管理できるフルマネージドサービスです。EBS、RDS、S3などのリソースに対応しており、サービスごとにバックアップを設定する手間を大幅に減らせます。
バックアッププランというポリシーに基づき、バックアップの頻度や保持期間を細かく設定可能です。さらに、AWSタグを活用することで、対象リソースへのポリシー適用を自動化する仕組みも提供されています。
また、増分バックアップ方式を採用しているため、初回の完全バックアップ後は変更があった部分のみが保存されます。これにより、ストレージコストと処理時間を削減できる可能です。
災害対策に役立つクロスリージョンバックアップや、組織全体でデータ保護を実現できるアカウント間バックアップ機能も標準で備わっています。
Amazon S3は、AWSが提供するオブジェクトストレージサービスです。ファイルシステムのような階層構造ではなく、一意のキーとデータを紐づけて保存するフラットな構造を採用しています。
S3では「バケット」という入れ物に、「オブジェクト」と呼ばれるデータを保存します。バケットにはAWS全体で重複しない一意の名前を付ける必要があり、オブジェクトは1つあたり最大5TBまで保存可能です。
S3の特徴的な仕様として、99.999999999%(イレブンナイン)という耐久性が設計されています。データは複数の施設に自動で複製されるため、ハードウェア障害や災害によるデータ損失のリスクを大幅に軽減できます。
ライフサイクルルールやバージョニングといった機能を使えば、柔軟なデータ管理とコストの最適化を実現できます。
また、バケットやオブジェクト単位で細かくアクセス権限を設定できるため、セキュリティ要件に応じた運用が可能です。
Amazon EBSは、EC2インスタンス専用に設計されたブロックストレージサービスです。データに高速アクセスできるブロック方式を採用しているため、高いパフォーマンスが求められるアプリケーションにも対応できます。
EBSには、用途に応じて選べる複数のボリュームタイプが用意されています。
ボリュームタイプ | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|
gp3・io2(SSD) | 高頻度アクセス | 高IOPS・低レイテンシ |
st1・sc1(HDD) | 大容量データ処理 | 高スループット・コスト効率 |
EBSのSLAでは99.99%の可用性が定められており、充実した機能群も特徴です。スナップショットによる自動バックアップや暗号化機能など、エンタープライズレベルの要求に応える機能が標準で備わっています。
Amazon EFSは、複数のEC2インスタンス間でファイルを共有できるフルマネージド型のファイルストレージです。NFSプロトコルを使い、Linuxベースのアプリケーションからのアクセスはもちろん、オンプレミスサーバーとの連携もできます。
EFSの主要な特徴は以下の通りです。
・自動スケーリング:使用量に応じてペタバイト級まで自動拡張・縮小
・高い耐久性:データを複数のアベイラビリティゾーンに自動複製
・マネージド運用:ハードウェアやソフトウェアの管理が不要
・高性能:最大10GB/秒の読み取り性能を実現可能
運用面では、使った分だけ支払う従量課金制のため、コストを最適化しやすいのが特徴。
Webサイトのコンテンツ共有やビッグデータ分析など、複数インスタンスでデータを共有したい場面で活用されています。
Amazon FSxは、高性能なファイルシステムをクラウド上で簡単に構築できるフルマネージドサービスです。4つの異なるファイルシステムから、用途に応じて選択できます。
ファイルシステム | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|
Windows File Server | Windowsアプリケーション | SMBプロトコル、Active Directory統合 |
Lustre | HPC・データ分析 | 高スループット・低レイテンシ |
NetApp ONTAP | エンタープライズ管理 | スナップショット・データ複製 |
OpenZFS | データ整合性重視 | ZFS機能・高い信頼性 |
導入時には、既存システムとの互換性を考慮することが重要です。例えば、Windows環境ならFile Server、計算処理にはLustre、高度な管理機能が必要ならNetApp ONTAPを選択するケースが多く見られます。

AWSストレージは種類が豊富で、どれを選べばよいか迷うケースが少なくありません。
ここでは、具体的な業務パターンごとの選び方を解説します。
・データベース・高速処理に最適なEBS
・バックアップ・分析基盤に強いS3
・複数サーバ間でのファイル共有を実現するEFS・FSx
・業務要件とデータ特性から導く選択基準
用途や業務要件を整理すれば、適切な選択肢が見えてきます。それぞれの特徴と選定ポイントを順番に確認していきましょう。
EBSは、データベースやトランザクション処理に求められる低レイテンシと高IOPSを実現します。SAPやOracleといったミッションクリティカルなアプリケーションでも、高い可用性(SLA 99.99%)により安定した運用が可能です。
汎用的なgp3ボリュームは最大16,000 IOPSですが、高性能なio2なら最大80,000 IOPSまで対応可能です。
さらに、特定のEC2インスタンスタイプではio2 Block Expressを選択することで、最大256,000 IOPSまで性能を拡張できます。用途に応じてボリュームタイプを選択することで、必要なパフォーマンスを確保可能です。
さらに、EBS最適化インスタンスと組み合わせることで、専用の帯域幅を確保して安定した高速処理を実現できる可能性があります。
S3は設計上99.999999999%の耐久性を持ち、企業の重要なバックアップデータを保管するのに適しています。AWS Backupと連携させれば、過去35日間の任意の時点にデータを復元したり、長期保存用ストレージと組み合わせることで非常に長期間の保存に対応可能です。
コスト面では、ストレージクラスを使い分けることで費用削減が期待できます。アクセス頻度に応じて適切なクラスへ自動でデータを移動してくれる、Intelligent-Tieringも活用可能です。
また、S3はデータレイクの基盤としても機能します。Amazon AthenaやRedshiftといった分析サービスと直接連携できるため、大規模なデータ分析を効率的に実現できる可能性があります。
複数のサーバー間でファイルを共有したい場合、EBSのような単一インスタンス専用のストレージでは対応できません。そこで選択肢となるのが、共有ファイルストレージであるEFSとFSxです。
EFSは、複数のEC2インスタンスから同時アクセス可能なファイルストレージサービスです。主にLinux環境で利用され、データ量に応じて自動で容量が拡張されるため、シンプルな運用を実現できます。
一方のFSxは、Windows環境やハイパフォーマンスコンピューティングなど、特定の要件に最適化された高性能なストレージです。リアルタイムでのファイル共有が求められる業務では、これらのサービスの選択が重要な鍵となります。
最適なAWSストレージを選ぶには、データ特性と業務要件を正確に把握することが重要です。アクセスパターンやデータの増加量、応答速度の要件などを整理することで、適切なサービスを選択できます。
IOPS、スループット、レイテンシーの3つが主要な評価指標です。例えば、トランザクション処理では低レイテンシーなブロックストレージが、大容量データ分析では高スループットなオブジェクトストレージが適している傾向があります。
【業務パターン別の選択基準】
業務要件 | 重要指標 | 推奨ストレージ |
|---|---|---|
高速データベース処理 | 低レイテンシー・高IOPS | EBS(gp3・io2) |
大容量分析基盤 | 高スループット・コスト効率 | S3(Intelligent-Tiering) |
複数サーバ共有 | 同時アクセス・拡張性 | EFS・FSx |
本記事では、AWSストレージサービスの選び方について解説しました。最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。
・AWSストレージはオブジェクト・ブロック・ファイルの3種類に大別される
・主要5サービス(AWS Backup、S3、EBS、EFS、FSx)にはそれぞれ最適な用途がある
・データベースにはEBS、バックアップにはS3、ファイル共有にはEFS/FSxが適している
・業務要件とデータ特性を整理することで適切なストレージを選択できる
・性能要件(IOPS・スループット・レイテンシー)を基準に判断することが重要
AWSストレージサービスの選択は、用途や要件を正しく理解することで、自社に適した選択肢を見つけることができます。ぜひこの記事を参考に、コスト効率とパフォーマンスを両立したデータ基盤の構築を検討してみてください。
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