

2026.1.5
AWS Trusted Advisorは、主要リソースを6つのカテゴリーで自動診断し、ベストプラクティスに基づいた最適化提案を提供するサービスです。
コスト削減からセキュリティ強化、パフォーマンス向上まで、幅広い観点からAWS環境の改善点を定期的に診断し、具体的な対処法を提示します。
本記事では、各チェック項目の詳細から料金プラン別の機能差、効果的な活用方法まで実践的に解説します。

AWS Trusted Advisorは、AWS環境を評価し、最適化のための推奨事項を提供する診断ツールです。
ここでは、Trusted Advisorの基本的な仕組みと特徴について解説します。
・AWS Trusted Advisorの役割と自動診断の仕組み
・他のAWSツールとの違いと独自の価値
・チェック結果の見方(緑・黄・赤の3段階表示)
コストの無駄遣いからセキュリティリスクまで、複数のカテゴリで多数の項目を評価し、改善点を視覚的に提示する仕組みを詳しく見ていきましょう。
AWS Trusted Advisorは、ユーザーのサービス使用状況を評価し、AWSのベストプラクティスに基づいた効率的な構成を提案するサービスです。AWSのベストプラクティスに基づき、コスト削減やパフォーマンス向上をサポートする最適なプランを提示します。
診断の仕組みとしては、以下の6つのカテゴリーでAWSアカウントを評価します。
・コスト最適化
・パフォーマンス
・セキュリティ
・耐障害性
・サービス制限
・運用上の優秀性
例えば、未使用のEC2インスタンスや過剰なアクセス許可を持つセキュリティグループなどを検出し、具体的な改善策を提案します。この評価結果と推奨事項により、AWS環境の効率性、安全性、信頼性を向上させることが可能です。
AWS Trusted Advisorが他のAWSツールと異なる点は、総合診断としての包括性にあります。
ツール名 | 主な機能 | 診断方式 |
|---|---|---|
Trusted Advisor | 6カテゴリ横断的な総合診断 | 24時間自動チェック |
CloudWatch | メトリクス監視・アラーム | リアルタイム監視 |
Inspector | EC2の脆弱性検査 | オンデマンド/定期実行 |
Well-Architected Tool | アーキテクチャレビュー | 手動評価 |
Compute Optimizer | リソースの最適化提案 | 個別分析 |
AWS Trusted Advisorは多数の項目を継続的に自動チェックする網羅性が特徴です。さらに、Security HubやCloudTrailと組み合わせることで、単体では実現できない包括的なAWS環境の最適化基盤を構築できます。
AWS Trusted Advisorのチェック結果は、信号機のような3色の表示で対応の優先度を示します。この表示方法により、数百項目にも及ぶチェック結果から緊急度の高い問題を素早く特定できます。
表示色 | 状態 | 対応の必要性 |
|---|---|---|
緑色 | 問題が検出されない | 対応不要 |
黄色 | 調査を推奨する | 改善の検討が必要 |
赤色 | 調査を行い対処を推奨する | 緊急対応が必要 |
ダッシュボードには色別にフィルタリング機能があり、赤色の項目から優先的に対処することで効率的な改善計画を立てられます。特に赤色のアラートは、セキュリティリスクやコスト増大に直結する可能性があるため、迅速な対応が重要です。

AWS Trusted Advisorが実施する6つのチェック項目では、それぞれ異なる観点からAWS環境の改善点を自動検出します。
ここでは、各チェック項目の詳細と推奨される対処法について解説します。
・セキュリティ強化で発見できる脆弱性と対策
・コスト最適化で見つかる無駄なリソース
・パフォーマンス向上のための具体的推奨事項
・耐障害性の診断ポイント
・運用上の優秀性を高めるベストプラクティス
・サービス制限の事前察知と対処法
セキュリティ強化では脆弱性を3段階で優先度付けし、コスト最適化では具体的な削減額まで算出する機能を順番に見ていきましょう。
AWS Trusted Advisorのセキュリティチェック機能では、AWSアカウント内の重要なセキュリティ脆弱性を自動検出し、具体的な修正方法を提示します。
主な検出項目には以下のようなものがあります。
・IAMパスワードポリシー設定の不備
・MFA未設定のルートアカウント
・公開設定になっているS3バケット
・RDSストレージの暗号化無効状態
・セキュリティグループの過度な開放
これらの問題は情報漏洩に直結する可能性があるため、早期発見と対処が重要です。検出された脆弱性は赤・黄・緑の3段階で緊急度を表示し、重要度の高い問題から優先的に対処できるようになっています。
AWS Security Hubと連携させることで、推奨事項を一元管理し、より包括的なセキュリティ対策を実現することも可能です。
コスト最適化のチェック項目では、AWS環境内で無駄になっているリソースを自動的に検出します。
特に見落としがちなコスト要因として、以下のようなものが挙げられます。
・CPU使用率が低いEC2インスタンス(使用率10%未満)
・アイドル状態のELBやRDS
・未使用のElastic IPアドレス
・不要なEBSボリューム
・最適化されていないRIやSavings Plansの利用状況
リザーブドインスタンスやSavings Plansを導入した場合の効果を定量的に分析し、年間の節約見込み額を具体的に試算する機能も備わっています。これらの提案を実施することで、コスト削減が期待できます。
パフォーマンス診断では、AWSリソースの性能や効率を向上させるための分析を実施します。EC2インスタンスのリソース使用状況や非効率な設定を検出し、データ処理速度の改善に向けた具体的な提案を行います。
具体的な診断項目は以下の通りです。
・EC2インスタンスタイプの最適化提案
・EBSボリューム設定の見直し
・ELBの負荷分散設定の改善
・CloudFrontの配信最適化
・DynamoDBのプロビジョンドスループット調整
例えば、プロビジョンドスループットの適切な設定により、データ処理速度を向上させつつコストも最適化できる場合があります。
耐障害性チェックでは、システムの可用性を向上させるための設定不備を自動検出します。
チェック項目 | 診断内容 |
|---|---|
マルチAZ配置 | EC2・RDSのアベイラビリティーゾーン分散 |
バックアップ設定 | RDSの自動バックアップ・スナップショット |
ヘルスチェック | ELBのヘルスチェック設定の最適化 |
Auto Scaling | 適切なスケーリングポリシーの設定 |
Application Load Balancerが複数のアベイラビリティーゾーンを使用しているかなど、システムの安定稼働に関わる項目を詳細に診断します。これらの設定を最適化することで、障害発生時の影響を最小限に抑えることができます。
「運用上の優秀性」の項目では、AWS環境の監視・管理体制を強化するための改善提案を受けられます。
主要な診断項目には以下が含まれます。
・CloudTrailによる操作履歴の記録状況
・CloudWatch Logsのシステムログ収集設定
・VPCフローログやAPI Gatewayアクセスログの有効化
・削除保護設定やバックアップ体制の確認
・リソース管理のためのタグ付け規則の遵守状況
これらの診断結果に基づいて改善することで、運用チームの負担軽減とシステムの安定性向上を実現できます。
サービス制限チェックでは、EC2インスタンス数やEBS容量などの主要リソースが上限の80%に達した時点で黄色の警告を表示します。制限値を超過するとサービス停止につながる可能性があるため、Service Quotasコンソールから直接上限引き上げを申請できる仕組みが整備されています。
監視対象となる主なサービス制限:
・EC2インスタンス数(リージョン・タイプ別)
・VPC数・セキュリティグループ数
・EBS総容量・スナップショット数
・RDSインスタンス数・ストレージ容量
現在確認できるサービスは主要なものに限られますが、リソースの過剰使用を防ぎ、予期せぬサービス停止を未然に防ぐ重要な役割を担っています。

Trusted Advisorの機能を最大限に活用するには、適切なプラン選択と運用方法の理解が重要です。
ここでは、プラン選択から実装まで、実践的な活用方法を解説します。
・サポートプラン別の機能差と選び方のポイント
・アラート通知設定と自動化で運用を効率化
・推奨事項の優先度付けと実装の進め方
・他のAWSサービスとの連携で価値を最大化
適切なプラン選択により多数の診断を活用し、他のAWSサービスとの連携で運用工数を削減する方法を詳しく見ていきましょう。
AWS Trusted Advisorで利用できる機能は、契約するサポートプランによって異なります。
サポートプラン | 月額料金 | 利用可能な機能 |
|---|---|---|
ベーシック | 無料 | ・アカウント・請求関連サポート |
デベロッパー | 29ドルの最低支払額または月額AWS使用料の 3% | ・ベーシックの機能に加え、ベストプラクティスガイダンス、無制限のサポートケース発行が可能 |
ビジネス | 100ドルの最低支払額または使用料ごとの従量課金制 | ・24時間365日サポート |
エンタープライズ | 15,000ドルの最低支払額または使用料ごとの従量課金制 | ・最速の障害対応(15分以内) |
ビジネスプラン以上では、チェック機能のフルセットが利用可能になり、API連携による自動化や優先度付きの推奨事項といった高度な機能も活用できます。
月額100ドルの投資で無駄なリソースの削減やセキュリティ改善を実現できることを考えると、中規模以上のAWS環境では投資回収が可能な場合が多いです。
運用規模と予算を総合的に検討して、環境に合ったプランを選択することが重要です。
Trusted Advisorの診断結果を効果的に活用するには、自動的な通知システムの構築が有効です。
CloudWatchと連携することで、チェック結果の変化を即座に検知してアラートを発生させることができます。
メトリクス名やチェック名を指定してアラーム条件を定義することで、自動的な監視体制を構築できます。
定期的な監視体制の構築には、週次メール通知機能が効果的です。通知設定から受信したい項目を選択し、通知言語を指定するだけで、継続的な改善サイクルを自動化できます。
さらに高度な自動化を実現する場合は、Amazon EventBridgeとの連携が有効です。チェック結果をトリガーにSNS通知やLambda関数を実行することで、運用工数を削減できます。
ただし、これらの機能を利用するにはビジネスサポート以上のプランが必要です。
Trusted Advisorが検出した推奨事項を効果的に実装するには、適切な優先度付けが重要です。
Trusted AdvisorのダッシュボードやAPIを活用すると、アカウントチームが特定した重要な推奨事項を組織レベルで集約し、ステータス管理(承認・却下・保留)や対応結果の記録が可能です。
大規模な組織では検出結果が膨大になるため、ステータスに基づいて段階的に対応することで、効率的な改善が実現できます。
Trusted Advisorの真価は、他のAWSサービスと連携することで発揮されます。
ビジネスサポート以上のプランでは、Trusted Advisor APIを通じてプログラム的にアクセスでき、以下のような連携が可能になります。
連携サービス | 実現できる機能 |
|---|---|
Security Hub | セキュリティ全体の見える化・管理 |
Amazon EventBridge | 診断結果の即時通知と自動対応 |
Lambda | 赤色・黄色アラートへの自動修復アクション |
AWS Organizations | 組織全体の推奨事項の統合管理 |
これらの連携により、複数アカウントの診断結果を一元管理し、企業レベルでのガバナンス体制を構築できます。
特にAWS Organizationsとの連携では、管理アカウントから組織内の全アカウントのTrusted Advisorの結果を一元的に集約・表示できるため、マルチアカウント戦略を採用する企業にとって重要な機能となっています。
毎週自動更新される診断データと各種AWSサービスを連携させることで、継続的な改善サイクルを確立し、クラウド運用の効率性を向上させることが可能です。
本記事では、AWS Trusted Advisorの機能と活用方法について解説しました。最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。
・AWS Trusted Advisorは6つのカテゴリーでAWS環境を自動診断
・診断結果は緑・黄・赤の3段階で優先度を視覚的に表示
・ビジネスプラン以上ではチェック機能のフルセットが利用可能
・CloudWatchやEventBridgeとの連携で自動化・効率化が実現
・適切な優先度付けと段階的な実装で継続的な改善が可能
AWS Trusted Advisorは、コスト削減からセキュリティ強化まで幅広い改善提案を提供する強力なツールです。定期的なチェックと推奨事項の実施により、より安全で効率的なクラウド環境を構築できます。ぜひこの記事を参考に、自社のAWS環境の最適化を検討してみてください。
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